円形脱毛症の治療法について、日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドラインを、分かりやすく紹介します。
円形脱毛症の原因や効果的な治療法が知りたい方は、皮膚科学会が公式に発表している円形脱毛症診療ガイドラインの情報を参考にしましょう。
日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドラインによる円形脱毛症の治療について
1 ステロイド局所注射療法は有効か?
円形脱毛症治療によく利用されているステロイド局所注射療法は、痛みを伴うため子供の治療には推奨できないとされています。
しかし円形脱毛症の改善に効果がある事が報告されていますので、大人の治療には安全な治療法として推奨されています。
2 局所免疫療法は有効か
局所免疫療法は多発型や全頭型、はんぱつ型の円形脱毛症の治療法として、1番の選択肢と報告されています。
局所免疫療法は年齢を問わずに効果があると報告されています。
注意する点は治療の費用です。保険請求できない治療法なので事前にしっかりと費用を確認して治療を開始しましょう。
※ 局所免疫療法を行っている病院
Dクリニック東京メンズ「円形脱毛症専門外来」
3 ステロイド外用療法は有効か
ステロイド外用療法も信頼性の高い治療法と報告されています。単発から多発型の円形脱毛症に対して高い効果が報告されています。
又、全頭型やはんぱつ型の円形脱毛症にも毛髪の回復が見られたと報告されています。
注意点は副作用で、長期に使用すると皮膚に炎症をきたす場合があるので、長期の投与はすべきではないと報告されています。
4 ステロイド内服薬は有効か
急速に円形脱毛症が進行している場合のみ使用しても良いと報告されています。
症状が発症してから6か月以内の人に適用しても良い治療法です。
5 ステロイドパルス療法は有効か
ステロイドパルス療法は発症後6ヶ月以内の人には75%以上で毛髪が回復したと報告されています。
しかし発症後6ヶ月以上の場合は15.8%しか回復しないそうです。
副作用の説明が十分に必要な治療法で、長期的な円形脱毛症の症状にはあまり向かない治療法と報告されています。
6 抗ヒスタミン薬の内服療法は有効か
抗ヒスタミン薬の内服療法は単発型や多発型の治療に使用しても良いと報告されています。
治療の効果としては脱毛範囲が縮小する根拠が見いだされていますので、初期の円形脱毛症には効果的だと報告されています。
ある程度効果が実証されている治療法です。
7 セフェラチン内服療法は有効か
セフェラチン内服療法は保険適用内の治療法で、単発型や多発型の円形脱毛症に有効なため推奨されています。他の治療と併用して行うと効果的な治療法です。
8 グリチルリチン,グリシン,メチオニン配合錠の内服療法は有効か
こちらも保険適用内の治療法なので行っても良いと報告されています。ただし効果実績の根拠が弱いとも報告されています。
9 カルプロニューム塩化物の外用治療は有効か
単発型および多発型の治療の1つとして行っても良いと報告されています。
ただし治療効果の根拠が弱いとも報告されています。
全頭型やハンパツ型においては、回復効果は実証されていない治療法であるとも報告されています。
10 ミノキシジル外用療法が有効か
現段階の日本では十分に実証されていない治療法ですが、海外での治療実績があるので単発型および多発型の円形脱毛症には行っても良い治療法であると報告されています。
11 冷却療法は有効か
保険適用外の治療法で回復効果も弱い治療法だと報告されています。
ただし副作用が弱いため円形脱毛症の軽度の症状には行っても良い治療法と報告されています。
12 紫外線療法は有効か
保険適用外の治療法で効果が薄い治療法と報告されています。
全頭型やはンパツ型の症状で固定化した症状の場合には、他の治療法と併用して行っても良いと報告されています。
13 レーザー治療は有効か
治療の効果実績や改善根拠がないので行わない方が良い治療法と報告されています。現時点では行わない方が良い治療法です。
14 シクロスポリンへA内服療法は有効か
シクロスポリンへA内服療法は脱毛症改善には効果的な治療法ですが、副作用が高いために、現時点では行わない方が良い治療法と報告されています。
15 分子標的薬の全身投与は有効か
分子標的薬の全身投与は効果が実証されていないので、現時点では行わない方が良い治療法と報告されています。
16 漢方薬療法は有効か
漢方薬療法は臨床試験が行われていない治療法なので、現段階では円形脱毛症の治療法として行わない方が良いと報告されています。
17 抗うつ薬の内服は有効か
抗うつ薬の内服は症状を改善する根拠が薄い治療法であると報告されています。現段階では行わない方が良いと書かれています。
18 タクロリムス外用療法は有効か
現時点では効果があるかないかまだ不明のために、行わない方が良い治療法と報告されています。
19 プロスタグランジン製剤の外用療法は有効か
プロスタグランジン製剤の外用療法はも試験で有効化を示せなかったので、現段階では行わない方が良い治療法だと報告されています。
20 ビタミンD外用療法は有効か
ビタミンD外用療法は臨床試験データが乏しいため、現段階では行わない方が良い治療法と報告されています。
21 レチノイド外用療法は有効か
レチノイド外用療法も臨床試験がまだ行われていないため、改善効果があるかないか判断できない治療法と報告さています。円形脱毛症の治療法としては行わない方が良い治療法です。
22 催眠療法は有効か
催眠療法は抗うつと怒りの感情に関しては改善効果がある治療法ですが、発毛に関しては効果が不十分な治療法だと報告されています。
臨床試験が十分に行われるまでは現段階では行わない方が良い治療法と報告されています。
23 心理療法は有効か
心理療法にも様々な治療法があり、発毛効果に直接結びつくデータがないので行わない方が良いと報告されています。
ただし心理療法はストレス軽減には効果があるので、精神的ストレス改善には効果的であると報告されています。
24 星状神経節ブロック療法は有効か
星状神経節ブロック療法は高い発毛効果のある治療法ですが、高いレベルの治療法であることと、危険性が高い治療法なので、現段階では日常診療において行わない方が良いと報告されています。
25 PRP療法は有効か
PRP療法は毛乳頭細胞を活性化して発毛を促す効果のある治療法と報告されています。
しかし症例数が少ないのと保険適用外の治療法なので、現時点では行わない方が良いと書かれています
26 アロマテラピーは有効か
アロマテラピーはリラクゼーションや緩和ケアに有効な治療法であるが、円形脱毛症には十分な実証がないため、現段階では行わない方が良いと報告されています。
27 鍼灸治療が有効か
鍼灸治療も様々な方法があり十分な検証が行われていないため、医学的な評価はできない治療法であると報告されています。
臨床試験を行ってから検証するべき治療法だと報告されています。
現段階では行わない方が良い治療法です。
まとめ
以上、日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年の紹介でした。
※参考資料 日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版